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従妹が僕に黙っていたこと

チアキさんからの投稿
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前回の話:再会した従妹と重ねる秘密-3章-

それから後も、週末、私と悠は秘密のデートを繰り返していました。

悠の携帯は休まることなく短い着信音が何度も鳴りましたが、私との時間を選んでいるときに突っ込んだ話をすることはしませんでした。

こちらの意思を主張して彼女の思案と生活の幅を狭める事は意識して避けていた。

悠も、そんな私と過ごしているときは気分よく羽を広げていられたと思います。

…ただ、少し調子に乗りすぎたかもしれない。

ちょこっとバチが当たりましたw

ある日私は、家族の中で「中じぃちゃん」と呼ばれている老人に呼び出されました。

亡くなった祖母の次男、現在の家族の最長老になる人です。

改まって会話することなど初めてですが、、ほぼ間違いなく悠のことだろう、見つかったんだ…そう予想しました。

車で荘厳な戸建てに到着した私は同居の婆さんに招かれ、客間に促されました。

すると…、

(あれっ!?)

そこにはもう1人。

"うしお叔父さん"と呼ばれている親族が、中じぃちゃんと一緒にお茶を飲んで私を待っていた。

…うしお叔父さんは家族の中でも数少ない、農業をしていない人。

自転車と原付の販売、修理をしている。

外国の人と結婚したか別れたかで現在は未婚だったか、事実上の別居状態という少し変わった人だ。

子供はおらず、別の親戚の家に同居している。

今でこそ腰が曲がっているものの、見た目は"整備服を着ている高田純次"みたいな感じ。

一見無責任でひょうきんものだが、外見も言動も垢抜けてカッコいい人で、親族にも同じように思われているはずだ。

私の中では"シティーハンターのあの主役の人がおじいさんになったとしたらこんな感じ?"みたいなイメージがある。

物心がついた頃から私はこの叔父さんが好きでした。

私の父とも歳が近くて仲が良く、家に何度も来ていて、会うたびに見たこともない雑貨、珍しいお土産をくれた、そんな記憶がある。

そんな"うしお叔父"さんが場違いにも僕の前に突然現れた。

(まじか...うしお叔父さんが....悠の...親父さんなのか!?)

状況が状況だけに私の脳みその中はもう、過去の回想と先読みの箇条書きの束を丸めて捨てたゴミ箱みたいに凄惨に散らかっていました。

尊敬していて、大好きで、楽しかったうしお叔父さんがシリアスに怒ったとしたら…。

想像しただけで尋常ざる恐怖感を覚えたのです。

こんな状況で私は中じぃちゃん、うしお叔父さんと談笑してお茶を飲むことに…。

ずっと怯えていました。

そしてついに、ソノ話題が……。

爺「ここ最近、オマエを良く見かけるという話を聞くよ。頻繁にコッチに戻ってきてるのかい?」

私「週末に、よく遊びに来てます」

う「車でドライブしてるみたいだな」

私「!」

う「隣に若い女を乗せて」

私「!」

わかってはいましたが、ギクッとなるもの、うしお叔父さんがニヤッと笑った。

う「今年でいくつになるんだっけか?」

私「僕ですか?……31歳ですが…」

穏やかな顔をしながら沈黙しつつ顔を見合わせて頷く、中じぃちゃんとうしお叔父さん。

(その歳なら充分問題ないね)という感じで優しい顔でこちらを向き直った。

そして「中じぃちゃん」が会話を続けた。

爺「そんなに緊張しなくていいんだよ。説教じゃない。今から話すことをご自身で考えて、行動してほしいと思うんだよ」

私「……」

うしお叔父さんが引き継ぐ。

う「亡くなった大じいさんの孫に女の子が3人いるだろ?」

私「……」

う「そのうちの1人のことなんだがなw」

私「……」

ハニワになってしまっている私に対して、うしお叔父さんは不敵な含みをもった微笑で私をまっすぐに見つめてきた。

目は真剣だ。

こういう顔ができる還暦すぎの人、かなりカッコいいと思う。

緊張していると、低く暖かい声で中じぃちゃんが喋り出す…。

爺「うすうす気づいていただろう?悠は、わしの兄が引き取った。」

いきなり悠の名前が出てきた。

かなり親密にしている所がどこかからかバレたっぽい。

爺「チョン坊(在日朝鮮人の赤ん坊)でない事が確認できたから、あの子を家族として迎えることを許したんだな」

(注)田舎の祖父の世代ではかなり差別的な思想が根強く残っていました。

……(もう分かってるんです。中じぃちゃん。だけどもう、どうすることもできないよ)

(うしお叔父さん。。僕は何て言えばいいんだろう。今ここで、言葉が出てこない...)

爺「葬儀でお前と悠が並んで歩いたのを見たとき、一部の親族の反応に気がつかなかったか?」

う「びっくりしたよ。目玉が飛び出るかと思った」

私「……」

爺「ここまで話しても、わからんか?」

う「本当に知らないんですよ、この子は。我々の責任。すべて年寄りのせいだ」

私(いえ、覚悟ができてます)

2人の老人に威圧感は無く暖かかったが、うしお叔父さんの眼光が鋭く尖った。

私は(来た!)と思い、背筋を伸ばした…。

爺「悠は、表向きには大祖父の孫ということになっている」

う「裏向きには、、俺の子だ。悠の姉たちも認識できている。興味を持って不審に思った親族達が噂しているのもコレだ」

う「隠し事という程ではないが"悠は俺の子"という扱いになる」

予想通りの答えだったが、私はその迫力に固まっていた。

私「……」

固唾を飲み込む私を鋭く見つめながら、うしお叔父さんが続ける。

う「ただ、お前には。ここでしっかり確認してもらわないといけない。いいか。これから聞く話を気を入れて覚えておけ」

私「……」

チラ、と叔父さんが中じいちゃんを見た。

次の言葉だった。

重く低い声で中じぃちゃんが言い放った。

爺「悠は、、"お前の父親と遊女との間に生まれた子だ"」

……………古い壁時計の振り子の音が聴こえる。

外を時々走り去る車の音が聴こえる。

台所から、何かを煮込んでいる鍋の音が聴こえてくる。

婆さん、夕食作ってくれているんだな。

呼吸音が聞こえる。

あぁ、これは自分の息の音だ。

震えているんだな。

同時に"キーーーーーーー"というモスキート音が鳴ってるような気がするが、これは違うようだ。

聴こえてる音じゃない。

………気が付くと、2人の老人が心配そうに私の顔を覗き込んでいた。

私は数十分も1人の世界に入っていたと思って。

慌てて時計を見たが数秒も経っていないようだった。

…最初に浮かんだのは悠じゃなかった。

父親の顔だった。

怒りで鼻血が出そうだ。

どうにかなってしまいそうなくらい。

殺意なんてものは病気の人か、フィクションの世界だけのものだと思ってた。

いや、こんなに簡単にしかも一瞬で父親に腹を立てるなんて小心者すぎるのか。

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